眠らない街、天海区。
その陰で「ジンギ」は4つの組織に分かれ、
互いに勢力争いを繰り広げている。
時代のしがらみにとらわれず、
自由を生きる「春雲組(しののめぐみ)」。
家族のような絆を持ち、
伝統を重んじる「狛浪組(はくろうぐみ)」。
金と権力でのし上がった、
飛ぶ鳥も落とす勢いの「黒条組(くろじょうぐみ)」。
世界規模の繋がりを持つ、
海外マフィアの連合組織「PHOENIX(フェニックス)」。
それぞれの組織が権謀術数を巡らせ一進一退する中、
天海区の地下に封印されているという
「夜真多大蛇(やまたのおろち)の首」の情報がもたらされる。
その血を飲めば、かつてジンギが持っていた
神と等しい力を手にできるという。
裏社会の勢力図を一変させるであろう
「ヤマタノオロチの首」と
その封印を解く鍵となる、
生まれながらにしてジンギの血を引く「少女」を巡り
これまでにない抗争の火ぶたが切って落とされる。
本作の任侠者は盃を交わす際に、酒ではなく「血」を用いる。子は親から、弟は兄から「血」を分け与えられることで晴れて組の一員と認められ、「神祇(ジンギ)」と呼ばれる力を持つ。
血の盃を交わすこと、それは人の道を外れること──ジンギとなった者は二度とカタギの世界には戻れない。彼らにはそうまでしても、力を求める覚悟と理由がある。
神代より、常人をはるかに超える力を振るい、各々の地を治めてきた。血の盃を闇に秘匿しながら、その血脈を連綿と受け継いできた存在。
或る時は異形の怪物を倒し伝説に名を連ね、或る時は戦場(いくさば)で命を互いに散らし歴史に名を刻む時代の権力者を陰で支え、また時に利用し、時代の移り変わりと共に姿を変え、現代では裏社会に生きる極道と呼ばれるようになる。